ピーター・ガスマンPeter Gassmann
PwC Strategy&ヨーロッパ マネージングディレクター兼
PwCグローバルESGプラクティスリーダー

2021年03月10日

SDGs

COVID-19で加速する
ESG経営に向けた意識変革と実践
──GZERO SUMMIT 2020より

2020年12月9~11日にオンラインで開催されたユーラシア・グループ主催の「GZERO SUMMIT 2020」。3日目に行われたサステナビリティをテーマとしたVIPラウンドテーブルでは、エネルギー業界や金融機関などさまざまな分野からの登壇者が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響からのグリーンリカバリーや、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資、ネットゼロなどの観点で各国政府や企業が直面する課題について議論した。PwC Strategy&ヨーロッパ マネージングディレクター兼PwCグローバルESGプラクティスリーダーを務めるピーター・ガスマンは動画メッセージにて、気候変動を巡る企業の情報開示の動向とPwCのネットゼロへのコミットメントを紹介し、参加者に向けてESGの重要性を呼びかけた。

目次

規制強化と投資家の意識変革がESG情報開示を後押し

ガスマンはCOVID-19が気候変動に対する取り組みを当初は遅らせるかに見えたものの、いまやグリーンリカバリーの文脈から再び重要課題として注力されるようになった実情を強調した。「エネルギーセクターでは再生可能エネルギーへの転換が加速し、金融セクターではESG投資への関心とESGに関する透明性を求める声がいっそう高まっています。ここで重要なのは、COVID-19による危機がなければもっと時間がかかっていたであろう変化が、強制的に起きたということです。これによって、変化が実際に可能であることが示されました」とガスマンは述べる。

気温上昇を1.5℃以下に抑えるというパリ協定で定められた目標の達成に向けて、国連グローバル・コンパクトに署名する企業が増え続ける中、機関投資家や年金基金の間では気候変動リスクやESG関連の報告を要求する動きが明確になってきた。金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、TCFD)が推奨する開示事項を報告している企業は1,500社を超え、そのうち20%は日本企業となっている。こうした進展を推し進めている重要な要因として、ニュージーランドや英国、オランダ、ドイツなど各国での規制強化があるとガスマンは指摘する。また、COVID-19による危機からの回復支援策の多くがESG関連の目標とひも付けられているほか、EU(欧州連合)による欧州グリーンディールも循環型経済の実現や生物多様性の回復を目指す計画を打ち出している。

もう1つの要因は、ESGに対する投資家の意識の向上だ。投資家はネットゼロの観点からポートフォリオの見直しを進めており、欧州では機関投資家団体IIGCC(Institutional Investors Group on Climate Change)の主導により2050年までにネットゼロを達成するための投資フレームワークが設計されている。投資先にTCFDの推奨開示事項の報告を要求したり、開示に進展のない企業に対しては投資を控えたりする投資家も増えている。

「金融セクター全体でも大きな変化が見られる」とガスマンは続ける。現在までに42の中央銀行がTCFDに賛同しており、これらの銀行は融資先企業に開示を義務化する可能性がある。加えて、利率や融資条件をESG関連の実績とひも付ける取り組みも進みつつあるという。

GZERO SUMMIT 2020の様子

ESG経営へのシフトが企業の成功を左右する

こうした動向を背景として、PwCも2030年までにネットゼロを達成するというコミットメントを表明した。2018年から取り組んでいる環境へのコミットメントをさらに進化させ、2030年までに温室効果ガスの排出量を50%削減するため、世界中で再生可能エネルギーへの100%の転換を目指すほか、オフィスでのエネルギー効率の向上、航空機による出張の削減、リモートワークの活用によるクライアントへのサービス提供モデルの再構築、サプライヤーと協働での気候変動インパクト対応など、さまざまな施策を進める計画だ。クライアント支援においては、脱炭素プロジェクトへの投資や非財務情報開示の促進を通じて、気候変動を含むESG関連の課題解決に寄与する。さらに政策についての議論にも積極的に参加し、経済構造改革に向けた検討を前進させることも目指す。

最後にガスマンは、「どの企業も、ESGに対する自社の位置づけと目標を明確にすることが重要です。気候変動やサステナビリティへの取り組みを組織の中核に据え、パーパスやミッションに反映させている企業が増えています。こうした変化を認識し、戦略の方向性を調整できるかどうかが、自社の評判や将来の成功を左右します。そうしなければいずれは事業が立ち行かなくなるでしょう」とESG経営に向けた意識変革と実践の重要性を強調し、メッセージを締めくくった。

ピーター・ガスマンの写真
ピーター・ガスマンPeter Gassmann

PwC Strategy&ヨーロッパ マネージングディレクター兼
PwCグローバルESGプラクティスリーダー

欧州の複数の銀行で取締役を含む要職を務めた経験を有し、現在はドイツを拠点にPwC Strategy&ヨーロッパ マネージングディレクターとして金融業界向けのサービス提供をリード。2020年9月からはPwCグローバルESGプラクティスリーダーを兼務し、クライアントのサステナビリティやネットゼロ実現を包括的に支援する機能の強化も担っている。

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